妊娠中は、お腹の赤ちゃんの成長を支えるために、これまで以上に食生活を意識することが大切です。一方で、「何を食べればいいの?」「食べてはいけないものはある?」「体重が増えすぎないか心配」と、食事について不安を感じる方も少なくありません。
妊娠中の食事で大切なのは、特別な食品をたくさん食べることではなく、主食・主菜・副菜を基本に、さまざまな食品を組み合わせてバランスよく食べることです。今回は、妊娠期間中の食生活で知っておきたいポイントについて紹介します。
妊娠中は「バランスのよい食事」を基本に
妊娠すると、赤ちゃんの成長に必要な栄養素だけでなく、お母さん自身の体を維持するための栄養も必要になります。そのため、食事量だけを増やすのではなく、栄養バランスを意識することが重要です。
基本となるのは、主食・主菜・副菜をそろえる食事です。
主食には、ご飯、パン、麺などの炭水化物を取り入れます。主菜は、肉、魚、卵、大豆製品などを中心に、副菜では野菜、きのこ、海藻などを取り入れましょう。さらに、牛乳や乳製品、果物などを組み合わせると、さまざまな栄養素を補いやすくなります。
毎食すべてを完璧にそろえる必要はありません。忙しい日には、食事全体を通してバランスを整えることを意識するとよいでしょう。
妊娠中に意識したい栄養素
妊娠中は、特に意識して摂りたい栄養素があります。
代表的なのが「葉酸」です。葉酸は細胞の増殖などに関わる栄養素で、妊娠を考えている時期から妊娠初期にかけて特に重要とされています。葉酸は、ほうれん草やブロッコリー、枝豆などの野菜や、果物、豆類などに含まれています。
また、妊娠中は血液量が増えるため、鉄も重要です。鉄が不足すると貧血につながることがあります。赤身の肉や魚、大豆製品、ほうれん草などを食事に取り入れ、ビタミンCを含む食品と組み合わせるのもよいでしょう。
カルシウムも、妊娠中に意識したい栄養素の一つです。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品のほか、小魚、大豆製品、野菜などから摂取できます。
ただし、栄養素は多ければ多いほどよいというわけではありません。サプリメントなどを利用する場合は、自己判断で大量に摂取せず、医師や管理栄養士などに相談することが大切です。
「食べないほうがよいもの」にも注意
妊娠中は、食品そのものだけでなく、食中毒のリスクにも注意が必要です。
肉や魚、卵などは十分に加熱し、生ものを食べる場合には衛生管理に十分気をつけましょう。特に、加熱が不十分な肉や魚介類、殺菌されていない乳製品などには注意が必要です。
また、魚には健康に役立つ栄養素が含まれる一方、種類によっては水銀を多く含むものがあります。そのため、特定の大型魚などは食べる量や頻度に注意が必要です。「妊娠中は魚を食べてはいけない」ということではなく、種類を偏らせず、適量を食べることがポイントです。
アルコールについては、妊娠中は避けることが基本です。また、カフェインも摂りすぎには注意しましょう。コーヒーや紅茶だけでなく、エナジードリンクや一部の清涼飲料などにもカフェインが含まれている場合があります。
妊娠中の体重増加も気になるところ
妊娠中は体重が増えるのが自然ですが、増加量には個人差があります。妊娠前の体格や健康状態などによっても適切な体重増加の目安は異なるため、「できるだけ体重を増やさないようにする」と考えるのは適切ではありません。
反対に、「赤ちゃんのためにたくさん食べなければ」と必要以上に食べることもおすすめできません。
大切なのは、体重だけを気にして食事を極端に制限するのではなく、必要な栄養を確保しながら適切に体重を管理することです。妊婦健診では体重の変化についても確認してもらえるため、気になることがあれば医師や助産師、管理栄養士などに相談しましょう。
つわりの時期は「食べられるもの」を優先して
妊娠初期には、つわりによって食欲がなくなったり、特定の食品しか食べられなくなったりすることがあります。
つわりが強い時期に、毎食完璧なバランスを目指すのは難しいものです。無理をせず、食べられるものを少量ずつ摂ることを心がけましょう。冷たいものや、においの少ないもののほうが食べやすい場合もあります。
水分を十分に取ることも重要です。吐き気や嘔吐が続いて水分も取れない、尿が極端に少ない、体重が大きく減っているなどの場合は、我慢せず医療機関に相談してください。
妊娠後期は「食べる量」より「内容」を意識
妊娠が進むと、赤ちゃんの成長に伴って必要なエネルギーや栄養素も変化します。ただし、「2人分食べる」という考え方は適切ではありません。
妊娠後期はお腹が大きくなり、一度にたくさん食べることが難しくなる場合もあります。そのようなときは、食事を少量ずつに分ける方法もあります。
また、塩分の摂りすぎにも注意し、味付けを薄めにしたり、だしや香辛料、酸味などを活用したりすると、無理なく減塩しやすくなります。
完璧を目指しすぎないことも大切
妊娠中の食生活では、「これは食べていいの?」「この栄養素は足りている?」と心配になることがあります。しかし、毎日の食事を完璧に管理する必要はありません。
外食や惣菜を利用する日があっても大丈夫です。外食をするときは、主食・主菜・副菜がそろった定食を選んだり、野菜料理を追加したりするだけでも、栄養バランスを整えやすくなります。
大切なのは、一食ごとの完璧さよりも、妊娠期間を通して無理なく続けられる食生活をつくることです。
お母さんと赤ちゃんのために、無理のない食生活を
妊娠中の食生活は、お腹の赤ちゃんの成長を支えるだけでなく、お母さん自身の健康を維持するためにも重要です。
「バランスのよい食事」「十分な栄養」「食品の衛生」「食べすぎ・不足への注意」を基本に、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。
妊娠中は体調や必要な栄養量に個人差があります。持病がある場合や、食事制限を指示されている場合、つわりが強い場合などは、一般的な情報だけで判断せず、かかりつけの医師や助産師、管理栄養士などに相談することが大切です。
妊娠中の食事は、「頑張りすぎる」のではなく「無理なく続ける」ことがポイントです。毎日の食事を楽しみながら、自分と赤ちゃんの健康を支えていきましょう。